https://www.yomiuri.co.jp/national/20240703-OYT1T50112
大口病院点滴連続点滴中毒死事件とは
2016年神奈川県横浜市神奈川区の大口病院(現・横浜はじめ病院)にて高齢の入院患者3人の点滴に消毒液(界面活性剤を含む消毒薬ヂアミトール)を混入させて中毒死させた事件で、同病院で当時勤務していた看護士・久保木愛弓が逮捕された事件です。
被害者として立件された死亡者2人のほか、同時期に死亡していた別の2人の入院患者の遺体からもヂアミトールが検出され、事件発覚の7月、8月の82日間48人の患者が死亡し、その後の約70日間の間は死亡者がゼロということから、4人以上の被害人数が疑われたが、発覚以前の死亡者は医師の診断により“自然死”扱いで火葬されていたため、既に証拠は失われていたため、証拠がある3人の殺人罪になっていますが、3人以上中毒死で亡くなっている可能性は高いですね。
なぜ、事件は発覚した?
最初に判明したのは3人目の被害者(八巻信雄さん(88))の容体が急変した際、看護師が投与中の点滴袋をベッドに落とし、袋内の輸液が急激に泡立ったことを不審に思い、偶然にヂアミトールの点滴混入が発覚した。
さらに調べると2日前に同じ部屋で死亡した被害者(西川惣藏さん(88))の遺体からも同成分が検出された。
ナースステーションに残されていた未使用の点滴袋約50個を調べると、10個ほどの点滴袋でゴム栓部分に封をする保護フィルムに細い針で刺した穴が見つかった。
そして、同じフロアで亡くなった患者の数が、事件発覚までのおよそ3か月の間に48人に上ることが明らかになった。
警察の捜査
犯行に使われたヂアミトールは、業務上使われるもので、院内各所に置かれており、犯人を特定することは難しかったが、看護師全員の看護服を調べたところ、被疑者の服からのみ、ポケット付近からヂアミトールの成分が検出された。
同病院で当時勤務していた看護士・久保木愛弓が事件発覚直後の夜勤中、投与する予定のない製剤を手に院内を歩き回る姿が県警の設置した防犯カメラに映っていたことや、被害者の病室に1人で入っていくのを同僚が目撃していて、そのおよそ5分後に容体が急変し死亡していたことにより、事情聴取により認めたため逮捕に至った。
元看護師・久保木愛弓被告はなぜ事件を起こしたか?
https://bunshun.jp/articles/-/49256?page=2
母親の勧めで看護師になるため専門学校に進む、すぐに自分には不向きだと感じたらしいが、学費を両親に出してもらっていたので卒業しなければならないという思いで卒業。
2008年に横浜市内の病院に就職した。3年後に異動して急変患者の対応をするようになり、一変する。点滴の注射に手間取って、患者の家族から責められた。抑うつ症状があらわれ、14年4月から精神科に通い始めた。コンビニでおかしや食べ物を買い、食べたものを下剤を飲んで出す。睡眠剤の過剰摂取「オーバードーズ」もしていた。休職したものの、15年4月に退職した。
久保木被告は翌5月、終末期患者を多く受け入れていた大口病院に再就職したが、夜勤が1カ月に8~10回ほどあり、かなり体力的にきつかったらしい。
体力的にも精神的にも追い詰められていた16年4月、入院患者が急変して亡くなった。急変を発見したのは久保木被告だった。遺族からは「看護師に殺された」と責められた。説明は同僚が行い、被告だけが怒られたわけではなかったが、「発する言葉が、私に突き刺さる印象でした」と恐怖心を募らせた。
それから3カ月後の16年9月、久保木被告は入院患者3人の点滴袋に消毒液を入れて殺害したとされる。「自分の勤務時間外に患者が死亡すれば、患者の家族への対応を避けられる」という身勝手な理由だった。
一人目の被害者 興津朝江さん(当時78歳)
入院院していた際に、病院から無断で出ようとしたらしく、「再び脱院すると思った。」「行方不明になったり、怪我をすると、自分が責められる。」「自分の勤務が迫っており、それまでに退院してほしくてやった」という動機でヂアミトールを点滴袋に混入させ、翌日に死亡
二人目の被害者 西川惣藏さん(当時88歳)
西川さんの容態が思わしくなく、「自分の夜勤中に亡くなってしまうのではないか」という動機で、ヂアミトールを点滴袋に混入その日の午後に死亡
三人目の被害者 八巻信雄さん(当時88歳)
次の勤務日の9月21日より前に死亡させようと考え、翌19日に八巻信雄さん(88)に投与予定だった点滴袋に消毒液を混入。
ほかの看護師が投与した結果、20日午前5時ごろに死亡した。
なんとも身勝手な自分本位な考えですよね。
また、久保木愛弓被告は事件後、様々なテレビ局や新聞社によるインタビューや取材に応じ、逮捕前にもテレビ局に「何故、こんなひどいことをしたのか、自分の家族が同じことをされたらどう思うのか。絶対許せません」と、直筆の手紙を送るなどして関与を否定
逮捕の際には「入院患者20人ぐらいにやった」との趣旨の話をしていたみたいです。
裁判の判決・死刑にならなかった理由とは?
久保木被告は逮捕後「20人前後に消毒液を注入した」「約10人を殺害した」と供述したとされるが、いずれも物的証拠などがないため立件されておらず、神奈川県警はもう1人の男性(当時89)に対する殺人容疑で追送検していたが、こちらも不起訴となっています。
なので証拠のある入院患者3人の点滴に消毒液を入れて中毒死させた3件の殺人で立件されました。
通常3人以上を殺害した場合、責任能力も認められる場合には死刑になる可能性は高いはずですが、判決は無期懲役。
久保木被告は犯行時、自閉スペクトラム症やうつ病があったと認定されており、自閉スペクトラム症の特性(対人関係が苦手、問題解決に対する視野が狭いなど)があり、患者の家族から怒鳴られて強い恐怖を感じた経験が殺人の動機形成に至った点を挙げ、それに対する情状酌量の余地や、自ら死刑を望むなど贖罪の意思を強く示している点などから「更生可能性が認められる」と判断され死刑を回避しました。
この判決を不服とし、控訴しましたが、犯行は確定的殺意を伴う残虐なものではあったが、恨みや不満から他人の命を積極的に奪ったような犯行とは異なるとのことで、検察側と弁護側がそれぞれ上告を断念し無期懲役が確定されました。
まとめ
証拠があったのは3人ですが、被告は入院患者20人くらいにやったと供述しているので、無差別殺人に近いのではないかと思う事件ですね。
病気を治すために行く病院で、二度とこんなことがあってはならない事件だと思います。
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