大牟田4人殺害事件・家族が全員死刑この家族が起こした事件とは?
【大牟田4人殺害事件】家族全員が死刑判決になった事件の詳細は? | 世界犯罪目録.
福岡県大牟田市で2004年9月16日、18日の2日間で4人が殺害された連続殺人・死体遺棄事件で加害者は家族4人で、その4人全員が死刑判決を下されるという異例の事件です。
家族4人で強盗殺人
暴力団一家であり、父親は「北村組」の組長で、土建業も営んでいましたが、生活費や暴力団の上部団体に支払う上納金の支払いが窮すほど借金にまみれていました。
そんな中、家族ぐるみで付き合いのあった、無登録の金融業を営む高見さんから、借金をして以降、高見さんから見下されるようになり、恨みを募らせていました。
そして、妻の真美は夫の実雄に借金の現状や組の資金繰りを打ち明けたところ、実雄は高見さんを殺害し金品を奪おうと計画します。それに、妻の真美も賛同し後に息子2人も引き入れます。
一人目の被害者
一人目の被害者は高見さんの次男、穣吏さんです。
北村家の長男、孝が次男の孝紘を誘い、両親を出し抜いて金品は高見家の自宅にあると思い手に入れるために高見家に向かいます。
在宅していたのは、次男、穣史さんで、北村家は高見家と家族ぐるみの付き合いだったので、普通に高見家へ入ることができました。
次男の孝紘はその場で次男、穣吏さんを殺害することを決意し、背後からタオルにて首を絞めました。
その後、二人は金品を強奪し、穣吏さんを車のトランクに入れて遺体を遺棄しようと車を走行中、仮死状態だった穣史さんが意識を取り戻し、悲鳴を上げて暴れたため、確実に殺害するために車を駐車し、首を絞め殺害し、ロープで首と両足にコンクリートブロックを1個づつ結び付け橋の上から諏訪川に投げ込んで殺害しました。
2人目の被害者
2人目の被害者は高見小夜子さんです。
真美が殺害する予定だったが、実行できずにいました。そして、弁当に睡眠薬を混ぜ、高見さんを眠らせ、北村組事務所に拉致し、一家4人で殺害計画を相談する。
高見さんの殺害方法や、また口封じのため長男も殺害し2人の死体を車に乗せ諏訪川に沈めるなど話し合ったそうです。また、誰が小夜子さんを殺害するのかとなった時は次男の孝紘が買って出ました。
そして、小夜子さんを車に乗せ大牟田港緑地運動公園へ連れていき、孝紘がワイヤーで小夜子さんを絞殺しました。
小夜子さんの遺体を乗せたまま、長男を殺害するために一家は高見家へ戻ります。
3人目・4人目の殺人
3人目の被害者は高見家長男の龍幸さんで、4人目の被害者は原さんです。
長男の龍幸さんは、次男の穣吏さんがいなくなったので行方を捜していました。その手伝いをしていた原さんも、この事件に巻き込まれることになります。
龍幸さんが家に戻ってきていないか確認するために、北村の父親、長男と次男は高見家近くに車で見張っていたら、龍幸さんが車で帰宅。その時に原さんもいました。
自分たちも穣吏さんを捜しているかのように嘘をつき、話しかけ原さんが乗車していることに気づき、どうするのか相談したところ、父親に「顔を見られた以上2人とも殺さなければならない」と指示され、長男、次男は、龍幸さんと原さんに一緒に探しに行こうなどと言葉巧みに誘い、人気の無い場所へ移動しました。
その時に父親から拳銃を手渡されていていました。
長男が車から降りたら、次男が2人の頭や胸を銃撃し、まだ息のあった原さんの胸をアイスピックで刺し失血死させました。
家族4人合流し3人の遺体を遺棄
家族4人が合流し、高見家の車に、高見小夜子さん、長男の龍幸さん、原さんの遺体を乗せ、川に水没させました。
そして4人は、高見家に行き金品を物色しますしたが、多額の金品は発見できず断念しました。
事件の発覚は?
諏訪川に次男の穣吏さんの遺体が浮いているのが発見され、また警察は小夜子さんも行方不明になっているので、最後に会った人物が、北村真美だったため事情聴取したところ、犯行を自供し、家族4人が逮捕されました。
父親「実雄」
2011年最高裁にて死刑確定し、広島拘置所に収監されており、未だ死刑執行はされていません。
1944年1月12日生まれ現在80歳になります。
高校卒業後、福岡に出て和菓子職人となるが、24~25歳の時に大牟田に帰郷しタクシー運転手となるがその後、暴力団幹部の専属運転手として雇われ、覚せい剤を打つようになり、30代で運転手を退職し、暴力団組員となってしまい、覚せい剤取締法違反、詐欺・暴力行為等処罰法違反などの前科が4回ありました。
妻、真美が逮捕されたことを知り、大牟田署に出頭、取調室にて拳銃で自殺を図るも失敗します。
この事件の計画の立案者、小夜子さんの殺害指示、龍幸さん、原さんの殺害の指示、小夜子さん、龍幸さん、原さんの死体遺棄
母「真美」
2011年最高裁にて死刑確定し福岡拘置所に収監されており、未だ死刑執行はされていません。
1959年4月26日生まれ、現在65歳になります。
大牟田市の四女として生まれ、母親が42歳で病死、母方の祖母と父親の情事を目撃後、非行に手を染めます。
19歳で17歳年上の暴力団員と結婚し、長女を出産しますが、すぐに離婚し22歳で16歳年上男性と再婚し、長男、次女を出産しますが、離婚します。
そして、北村実雄と再婚し、次男、三男を出産します。
覚せい剤使用歴あり、脅迫罪の前科あり、また逮捕監禁・恐喝未遂で不起訴になった前歴があります。
また、自殺癖があり、この事件前の4年間で7回も自殺未遂を起こしています。
- 長女 :最初の夫の子供(殺害事件に関与していないので情報がありません)
- 長男(孝):2番目の夫の子供(北村と養子縁組をした関係とされていたのですが、血縁上は北村の実子らしいです)
- 次女 :2番目の夫の子供(殺害事件に関与していないので情報がありません)
- 次男(孝紘) :北村の子供
- 三男 :北村の子供(2015年1月8日自殺)
小夜子さん龍幸さん、原さんの死体遺棄
控訴中の2007年1月12日、福岡拘置所内で自身の半生を手記に記しており、同年3月下旬に小野一光氏がその手記を入手し「現代」(2007年7月号)にて内容を紹介しています。
長男「孝」
2011年に最高裁にて死刑確定し大阪拘置所に収監されており、未だ死刑執行はされていません。
1980年12月20日生まれ現在43歳になります。
報道で2番目の夫の子供とされていましたが、母親の手記や彼女の弁護人による上告趣意書によれば、血縁上は北村実雄との間に生まれた実子のようです。
小さい頃から体格が良く、相撲部屋からいくつか打診を受けていました。中学卒業後に大島部屋に入門し「旭竜神」という四股名で、相撲界へ挑戦しますが、稽古の厳しさから脱走しようとした際に連れ戻され、「稽古場が燃えれば、稽古をしなくて済むと思った」という理由で稽古場のカーテンに火をつけ放火、偶然部屋に戻ってきた兄弟子に取り押さえられ未遂に終わります。その後は、大牟田の実家に夜逃げ同然に逃げ帰ります。
その後は暴走族になり非行を重ね、地元の建設会社で働くも、同僚の少年に暴行し水死させるという事件を起こして、傷害致死容疑で懲役3年6カ月の実刑判決で服役します。(2004年春ごろまで刑務所に服役)
出所後は、北村組の暴力団員の行儀見習いとなります。
弟の孝紘に穣吏さん殺害指示、死体遺棄、強盗、父親の指示を受け小夜子さんの殺害指示、龍幸さん、原さんの殺害の指示、死体遺棄
自らは手を汚さずに、弟の孝紘に殺人の実行役を担わせていた理由について、この傷害致死事件の経験から「人を殺しても、年が若ければたいした懲役にはならない」と思っていたそうです。
次男「孝紘」
2011年最高裁にて死刑確定し福岡拘置所にて収監されており、未だ死刑執行はされていません。
1984年6月9日生まれ現在40歳になります。
父親が暴力団員の家庭環境だったため、小さい頃から横柄な態度で小中と悪さばかりしていたそうです。
中学卒業後は、松ケ根部屋に入門し力士となり「三池山」という四股名で、2001年5月場所では序二段にまで番付を上げましたが、それ以上は上げられずに引退します。
引退後は、大牟田に帰郷して兄・孝の暴走族に入ったり、実家の会社で鳶職として半年弱働いたがすぐに退職し、その後は、父の北村組に入り、準構成員となりました。
2002年には「初めて心から惚れ、愛した」女性ができ、彼女とともに真面目に暮らすため、カタギになろうと考えていたタイミングで、暴力団関係者の自宅に家宅捜索が入り、誰かが身代わり出頭せざるを得なくなったことから孝紘が出頭することになりますが、どうせ捕まるならと、大牟田近辺の交番など49件の襲撃とひき逃げをしたりと非道な行為をしました。
2003年4月には暴力行為等処罰の関する法律違反、覚せい剤取締法違反、大麻取締法違反、器物破損4つの罪で中等少年院送致の保護処分を受けました。(2004年5月頃まで服役)
2013年には支援者の女性と獄中結婚しており、名前が「井上孝紘」に変わっています。
孝紘は逮捕されて取り調べを受けていた福岡地検久留米支部から逃走するも約3時間後に身柄を確保されました。
父親、兄孝から指示を受け、4人殺害
また、孝紘は上告中に2008年5月30日付で書いた手記を『実話マッドマックス』編集部宛に送っていました。同誌2008年8月号から2010年1月号まで「我が人殺し半生」と銘打った記事を連載しており、その連載内容をまとめた単行本がコアマガジンから出版されています。
事件を題材にした作品
文庫本
『我が一家全員死刑』コアマガジン 鈴木智彦
映画
『全員死刑』主演間宮祥太朗
まとめ
家族4人が殺害の計画をし、4人が2日間で殺害されるという凶悪な事件、この家族の個々の生い立ちをみても、全員が前科持ちという悪一家ですね。
また息子二人に関しては、少年院、刑務所から出所して数カ月でこの大牟田の事件を起こしています。
4人全員が死刑になるという前代未聞の事件、各々刑務所で日々何を思って生きているのでしょうか?