北九州・連続監禁殺人事件とは
1996年から2002年に渡って福岡県北九州市小倉北区で発生した7人の命が奪われた監禁・連続殺人事件で、 この内容はあまりにも凄惨で、残虐性が高く、滅多にテレビでは放送されない、放送されたとしても凄惨な内容はソフトに置き換えられています。なので知名度としてはあまり高くありません。
また、この監禁・連続殺人事件は、人の心、マインドコントロールによるものが大きく関係しており、主犯の松永太は一切手を下さず、監禁された家族同士が殺害をするという驚くことが多い事件です。
私はこの事件が、日本史上もっとも稀にみる凶悪事件だと思います。
北九州・連続監禁殺人事件相関図
事件の発覚は?
2002年の3月に最初に殺害されたH氏の娘(当時17歳)が監禁先から逃げ出し、H氏の祖父母に助けを求め、警察に通報したことで事件が発覚しました。
主犯の松永太と共犯の緒方純子が監禁・傷害容疑で逮捕されました。
松永太と緒方純子の出会い
昭和57年に松永はA子と結婚していたが、高校の同級生だった緒方に何度も連絡を取り、会うようになります。緒方は松永が結婚しているのを知っていたが、後に不倫関係となるのです。
緒方の家族は松永との不倫関係を知り反対するのですが、松永との会食の振る舞いにすっかり懐柔してしまいます。
この交際時からも松永から緒方はDVを受けていました。
DV(ドメスティックバイオレンス)とは配偶者や交際関係にある、または交際関係に者から振るわれる暴力
DV被害の心理状態は、夫や恋人との閉ざされた二人だけの世界で、「お前が悪い。だから俺はこんなことをするのだ」と暴力を振るわれていると、大概は自己を非難する思考を植え付けられ、自尊心が壊されていくそうです。
抵抗する気力もなくなり過酷な暴力に耐え、理不尽な要求に従うようになっていってしまう。
松永はこの心理的作用を熟知していたため、徐々に緒方を支配していった。多分、緒方は支配しやすいと松永は見抜いていたんじゃないかと思います。
また、死人に口なしですが、この緒方との交際中に、緒方の母親と肉体関係があったと法廷にて松永は証言しています。
松永の会社が破綻し北九州で逃亡生活
松永の会社は詐欺的手法での布団販売会社を経営。信用金庫にての約束手形の支払いの延長を求めたましが、応じてもらえずに恫喝、机を壊すなどの行為を行い、信用金貨側が告訴、警察は、老女からの現金、約350万円の搾取も突き止め詐欺容疑でも逮捕状が出ました。
二人は指名手配されましたが、石川県に逃亡、後に北九州の小倉に定住します。
この時の平成5年に緒方が松永との子供一人目を出産します。
一人目の被被害者
北九州小倉で住まいを探すときに出会った不動産会社のH氏が一人目の被害者です。
不動産を借りる際に何もうるさいことを言わず、便宜を図り続けたH氏に松永は目をつけ、色々と詐欺商法などの話を持ち掛け、金をH氏から取り色々と画策をする。やがて、H氏の娘を松永のもとに置かれることになります。
やがて、H氏は不動産会社を事実上クビになり、松永に誘われ一緒に住むことになり、金の工面ができなくなったことにより、支配下に置かれ監禁状態になり虐待をされていくのです。
主な虐待
- 二股に裂いた銅線の先端に金属製のワニ口クリップを装着したもので通電させる
- 拳で顔面を殴る
- ペンチで挟む、つねる
- 身体にかみつく
- そんきょの姿勢でいさせる
- 体育座りで寝かせる
- 食事の制限1日2食(新聞紙に置かれ、食べる時間も制限、基本白米と生卵1個)
- 真冬でも水シャワー(着替えが無いので乾かしている間は冬でも全裸)
- トイレの制限(松永の許可が必要)
トイレの制限があるため、漏らしてしまったときは食べるように命じられてパンツごと口の中に入れ、涙しオエオエとしていたそう。
また、H氏の娘も生活制限を強いられていました。
H氏への通電は日常行われ、指は肉が溶けケロイド上になり骨が見えるほどにまでに。やがて腕は上がらなくなり、ついには言動もおかしくなっていきます。体はやせ細り、顔色もどす黒く、表情も消えていきました。
H氏は凄惨な虐待の末に亡くなってしまいました。
また、松永は虐待時の写真を撮っていたというから驚きです。
遺体の処理は
松永は、緒方とH氏の娘のせいでH氏は亡くなってしまったと、このままでは逮捕されると責め、遺体をバラバラにして捨てるしかないと緒方とH氏の娘に指示します。
松永は遺体の処理方法を抜かりなく指示をします。
「遺体は包丁やノコギリを使って、細かく切り分けられてから鍋で煮こまれました。そうして肉と骨を分離させ、肉はミキサーでさらに細かくしてからペットボトルに入れ、近くの公衆便所などに捨てています。骨は細かく砕いて缶に入れ、大分県と山口県を結ぶ旅客船などから海に投棄したそうです。解体場所となった浴室は、松永の指示で念入りに掃除されており、誉さんには台所の配管の交換を、主也さんには浴室のタイル交換をさせていました」 引用:「王様と奴隷でした」……北九州監禁連続殺人事件で7人が殺害されるまでのおぞましい手口 | 文春オンライン
緒方もH氏の娘もまともな精神状態になかったのでしょう。二人も常に、通電という虐待をされており、指示に従わなければ自分に非が及ぶと思っていたのではないでしょうか?
また、驚くことにこの時期に緒方は2人目を出産しています。
緒方一家に忍び寄る
松永は、金策のために、緒方の家族に忍び寄ります。緒方が、殺人に関わったということで、父親は娘が犯罪者になって逮捕されるのを恐れ、またそのことが世間に知れたら自分も終わりだと思ってしまったのでしょう。
ここで、緒方を自首させて逮捕されていたら、ここまでひどい事件にはならなかったでしょうね。
松永は、緒方一家にあること無いことを言い、家族を混乱させ、全て松永の手中に入るようにしていき、緒方の両親、妹夫婦とその子供、全員を松永のマンションで生活させるように仕向けました。
逃げられたのに逃げれなかった?
緒方一家の監禁生活が始まりました。前のH氏のように生活制限の決まりがありました。
- 玄関のドアは南京錠で施錠(松永の指示があった時のみ外出できる)
- 外出の際には15分ごとに携帯で連絡を入れる
- 台所に常に立たされる
- 基本無言
- 基本台所で、布団なしの雑魚寝 冬でも暖房器具なし
生活にて守れないことがあると、やはり通電の虐待は日常茶飯事で、ターゲットにされるとひどく通電をされたそうです。
何故逃げなかったのか?
通電などの数々の虐待をされ、最初は恐怖心があったはずですが、徐々に反抗や逃走を完全に諦め、H氏同様無気力状態になっていったと思われます。
2人目の被害者
緒方家で最初にターゲットにされたのは、緒方の父親です。H氏同様に虐待を繰り返されます。その虐待を行うのは家族であり、松永は指示をするのみです。家族は指示に従わないと自分がターゲットにされてしまうため、父親に虐待を繰り返します。
凄惨な虐待の末、父親が亡くなります。
松永は、自分で手を下していないので、また家族を責め、H氏同様に、遺体の解体処理をさせます。
3人目の被害者
次のターゲットは緒方の母親に向けられます。同じように虐待を家族によって繰り返され、母親は精神を病んで言動がおかしくなっていきます。その声が松永は気に入らなく、家族に殺すよう仕向けていき、母親は家族によって電気コードで絞殺されました。
遺体処理は同じように実行されました。
4人目の被害者
次なる被害者は、緒方の妹となります。松永により、緒方の妹を殺すように仕向けられ、緒方の妹の夫によって、電気コードで絞殺され、いつものように遺体処理を実行しました。
緒方一家は監禁されてから、わずか1っカ月半の間に3人も殺さてしまいました。
5人目の被害者
5人目の被害者は緒方の妹の夫です。厳しい食事制限のためやせ細り、栄養失調だったのでしょう。歩くこともままならず、嘔吐を繰り返しして弱っていき、病院へ連れていくこともなく、亡くなりました。
そして、残っている緒方とH氏の娘2人で遺体処理を実行します。
6人目の被害者
6人目となる被害者は、緒方の妹の子供、長男が標的にされます。松永は長女に、両親がいなくなった今、長男をどうするべきなのか長女に諭していきます。答えは一つしかないこと。つまり、長男は両親のもとへ行ったほういいと答えるまで松永は諭していきました。
そして、長女がそうすると決断し、緒方、H氏の娘によって長男は絞殺され処理されました。
7人目の被害者
7人目の被害者は緒方の妹の長女に。弟がいなくなってしまい、虐待のターゲットになりました。通電の虐待もひどく。食事も少なく、やせ細っていったそうです。この辛い状況に松永は追い打ちをかけるように長女に話をして、自ら死を選ぶように誘導していきました。
誘導したあとは、緒方、H氏の娘によって絞殺され、処理をされました。
H氏の娘の逃走で終焉を迎える
このままでは、今度は自分が殺されるのではないか?と思って逃走をしますが、一度失敗しています。松永に一度連れ戻されるも、もう一度逃走し、警察に通報し、事件が明るみになります。
この、一度目の逃走で、H氏の娘が逃走を諦めていたら、この事件がどうなっていたかと思うと、本当に恐ろしいです。
7人殺されていますが、全て処理をされてしまっているので、遺体も何もありません。
まとめ
北九州連続監禁殺人事件の内容をなるべくわかりやすくまとめてみました。
この主犯の松永はマインドコントロールを巧みに使い、自分の思うように人を動かしていたように思います。犯罪のほうではなく、これをうまく活かしたら、仕事の営業やホストとかで群を抜いた才能を発揮していたのではないかと思ってしまいます。
恐怖心を植え付け、感情のコントロールをされてしまうと、家族が家族を傷つけあうようになるという恐ろしさ。
人間、極限状態になると正常な判断ができなくなってしまうのですね。
豊田正義さんの「消された一家」はノンフィクション作家で、当時の事件、裁判、松永や緒方、H氏の娘の裁判の時の発言など詳しく書かれています。
私は幾度となく読み返しています。毎回読み返して思うことは、ここで松永と緒方が出会っていなければ、緒方の人生は変わっていたのではないか?とか、H氏もその時の不動産会社が違うところだったら被害に遭わずに済んだのにと。
人生、出会った人で大きく変わるということ。
緒方一家はこの松永に出会い一遍してしまいした。
本を読むたびに、私は、この事件が日本史上、凄惨かつ凶悪事件だと思います。